ロードバイク・クロスバイク・マウンテンバイクなら、岡山県倉敷市のサイクルショップタケチ

ブログ

自転車のメンテナンスを怠っていると

皆さん、自転車の日頃のメンテナンスはどの様にされてますか?

ネットやYouTubeを参考にされている人がほとんどでしょうね。ネットに上がっているモノを全て鵜吞みにされてませんか?フェイクな情報も山盛りで溢れていますので注意してくださいませ(^-^;

今回は、数年に一度出会う事例をご紹介します。

特にトライアスロン系の自転車に多い例ですが、ご自身でメンテナンスしていて、ショップに持ち込む事が少ない方にありがちな症状です。

これはBBを抜いた時のBBシェルの内部の画像です。

茶色っぽく見えるのが全て「塩が結晶したもの」です。

結晶した塩が、BBシェルの内部にびっしりと詰まっているのが分かると思います。

長年 「塩抜きクリーニング」をしていなかった証拠ですね。

BBシェル内部の塩を除去するとフレーム内部が見えてきますが、ご覧のようにねじ山が半分は腐食で無くなっています。また、フレーム自体の厚みが薄くなっていますね。

これは「電解腐食」というもので、海水に含まれる塩が影響します。

ねじ山を溶かしてしまうくらいの威力を持っている電解腐食ですが、どのようにしてこうなってしまうのか解説しておきます。

BBはフレームの下部に位置します。トライアスロン系の自転車は、海水で濡れた状態の人がそのままバイク競技に移りますので、自転車に海水をバケツで掛けるようなものですよね。その海水が最下部のBBシェルに溜まっていくのは容易に理解できると思います。

けどそんなに塩がどうやってフレーム内部にはいるの?

これは、塩分が溶けた「溶液」=「海水」となってフレーム内部に侵入します。この溶液は表面張力でねじ山の隙間にも侵入していきます。その状態で水分だけが蒸発すれば、塩は結晶すると言う訳です。昔の塩を作る製法と同じと考えてもらうと早いかもしれません。

フレームには様々な隙間があります。シートチューブ上部(シートピラーが入るところ)、ヘッドチューブ(フロントフォークが通っているところ)、ボトルゲージ台座、その他加工用の穴など。

こうした隙間から海水は侵入していきます。

なぜ塩を含む溶液でアルミが溶けてしまうの?

塩分を含んだ溶液が表面張力でわずかな隙間に侵入し、金属間に残留するとその金属間にわずかな電気を発生させてしまいます。これは乾電池の原理と同じと言うと理解しやすいでしょうか。理科の実験で豆電球を点灯させたのと同じですね。

わずかな電気ですが金属間でずっと発生していると、双方の弱い方の金属を攻撃してしまいます。なので、アルミは負けて腐食しやすいと言う訳です。

また、アルミフレームの塗装が「かさぶた」みたいにボコボコっと浮き上がっている物を見たことはありませんか?これも塩が影響しています。アルミフレームの生地と塗装の間に溶液が入り、そこで結晶してしまうと「かさぶた」の様に塗装がボコボコと浮き上がらせてしまいます。少し触るだけで塗装がポロポロと剥がれ、白い塩が現れます。残念ですが、そのまま放置するより除去しなくては癌のようにドンドンとその範囲が広がっていくことがあります。

対処法は?

とにかく洗浄する事です。自転車に水を掛けて大丈夫なんですか?とたまに質問されますが、答えは当然 YES です。ただし、高圧洗車機は NG です。

汗や海水を被ったままにしておく事は厳禁です。真水でしっかり洗い流してください。洗剤を使うとしたら中性洗剤がオススメです。メーカーや業種によっては違うものを推奨しているのでご確認ください。

先日の皆生トライアスロン大会でメカニックサポートをしていた時も この手のトラブルで、ワイヤーが動かない自転車や壊れかかった変速機の自転車が数多く持ち込まれました。使えるからまだ大丈夫!なんて思っていると、いざという時にトラブったり不安になるのでしょうね。

大量に汗をかく夏場や室内トレーナーで汗がボタボタ自転車に掛かっている自転車は、こまめに洗浄してあげてくださいね。

洗浄後は、乾拭きやチェーンの注油もお忘れなく。

 

また、フレーム内部の洗浄や細かなところまでは無理でしょうから、当店ではフルばらしクリーニング作業を承っています。

大切な相棒を永く調子よく乗っていただくために、2~3年に1度はフルばらしメンテナンスをおススメしています。

手遅れになる前にぜひご相談くださいませ(^^)/