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日本製カーボンフレーム取り扱い開始&インプレッション

2017/03/16 00:00

近年『MADE in JAPAN』というモノを見る機会が少なくなってきているように思う。

自転車業界もしかり、海外ブランドの攻勢は凄まじいものがある。企画・開発・プロモーションと様々なシーンで各メーカーは凌ぎを削り、毎年 革新的アイデアと技術で次々と新しいものを市場へ送り込んでくる。

その一方、開発費を全く要せず卓上企画から即OEM生産し販売してしまうメーカーもある。要は『見た目勝負』で、かっこよければ売れる!似たような物を作れば売れる!ネットに上げれば売れる!といったメーカーも存在する。時代の象徴的な販売方法かもしれないが、これを否定するつもりもなく、それを求める市場があれば成り立つからである。

そんな時代に、『日本』は物作りを辞めてしまった・・・。昨年も国内カーボンフレームのメーカーさんが1社生産を辞めてしまった。日本の『物作り』は世界最高の技術を持っているのに・・・。世界に通用したのはSHIMANOだけなのか?なんて悲観的になってしまう。

が、先日YONEXさんが、立ち寄ってくださいまして目からウロコでした。

『YONEXがカーボンフレームを国内で生産を始めるってぇ』というのを聞いたのが3年前。輪界(自転車業界)とはまったく縁のない他業種のYONEXさん。バトミントンしか頭に浮かんでこないお名前ですよね。『え!なんでYONEXが自転車フレームを?』『どうせ自転車のノウハウなんて無いでしょ』なんて思ってしまうのは当然です。不思議がいっぱいですよね。分からない事だらけ。

ですが、訪問してくださり、???が一つずつ分かってきました。

『え!なんでYONEXが自転車フレームを?』

YONEXのロゴは見たことがない人はいらっしゃらないでしょう。学校の体育の授業、部活、テレビ、スポーツ店・・・。まず頭に浮かぶのはバトミントンですよね。

そのバトミントンのラケットは超軽量のカーボンで出来ているのはご存知の方も多いと思います。

YONEXさんは、そのカーボンの成型技術を応用して、ゴルフシャフトやスノーボードの板なども製作しています。

そこで、パイプやボード状の製作の技術を『もっと複雑な応力の掛かる物を作る』ことをコンセプトに作り上げたのがこの『自転車のフレーム』だった訳ですね。YONEXさんのチャレンジが始まったという訳です。

しかし、自転車のフレームには、縦・横・ねじれ方向に常に応力が掛かっています。体重によっても違いますし、ライダーの筋力によってもその力は大きく違いますよね。

この応力に対して、接合部分のどの部分にどれだけの剛性が必要なのか、どれだけ柔らかくすれば乗り心地が良いのか。どんな素材の物を使うのが良いのか。

また、ジオメトリーと言われるパイプの角度や長さなど、ミリ単位の違いで自転車の乗り味は全く別モノになります。これが俗に言われる『ロードはヨーロッパに限る!』なんて言われますが、それだけ長年をかけて、経験を蓄積し熟成されたジオメトリーを持っているからですね。

新規メーカーさんの多くは、この経験と実績がないところからスタートですから、当然それだけのハンデは否めません。実際に試乗をしてみないと、何者(どんな自転車)なのかわからないからです。っと言うことで、早速試乗させて貰いました。

試乗して第一印象は、『おおおぉーーー!』『これはイイ!』でしたね。

踏み出しは、フレーム重量650gと言う世界的にもTOPクラスの軽さが足に伝わります。しかし、軽いだけでは前に進みません。他のメーカーさんの超軽量フレームも試乗をする機会が多くありますが、横剛性を高めているため、踏み出しは軽くても暫くすると反発力が強すぎて嫌なダルさが足に来ます。俗に言う硬すぎるフレームに仕上がっているケースが多く見受けられます。世界の最高峰で戦う選手達と我々のようなホビーレーサーとの筋力は差が大きいので、単にメーカーで販売している1番高い自転車に乗れば誰でも早く走れるという事は当てはまらない訳ですね。

このフレームは、BB付近とダウンチューブ辺りからのペダリングを邪魔する反発力が少なく感じますね。足が素直に入っていく感じが心地よく、それでいてパワーロスは少なく感じます。

ヘッドチューブ付近の剛性もしっかり確保されているので、前輪と後輪がバラバラで動くような事はなく安定感を感じます。

例えて言うなら、クロモリに近い『しなり』がちょうど良い!と言うと伝わるでしょうか。硬すぎず柔らかすぎず、素直にペダリングをさせてくれる感じです。ホイールがD/Aだったので、もう少しシャキっとしたホイールを履くともっとキビキビ感は上がるでしょう。

路面からの振動も『ん?上がってこないなぁ・・・』と感じるほど。25Cタイヤが装着されているのを差し引いても『フワッ』と乗っている感じです。それでいて、反応が悪いわけでもないし。カーボン特有の踏み出しの半テンポ遅れる感もほぼ感じません。低速域から中速域で安定性は損なわれません。

ならば!とばかりにダンシングダッシュしてみます。

試乗したサイズが1サイズ大きいサイズでしたので、ハンドルバーの真上あたりでダンシングをしてみると、後輪が少し暴れる感じです。なので、サドルに近いあたりでダンシングをしてみると安定感が出ました。自転車の上で重心をどこに持っていくのがベストなのかは、それぞれの自転車に少し乗って理解することでしょうが、このフレームは理解するまでに多くの時間は必要ないでしょう。フレームのねじれによる『スコッ』っと抜け感ではなく、『パシッパシッ』と体重を受け止めてくれる感じですね。

ここまで来れば、後はコーナーリング特性を見てみたくなります。ジグザグに走ってみます。

サイズが大きいのもあって、どこまで切れ込んで大丈夫かなぁ・・・と恐る恐る振り回してみましたが、ペタっと倒れこむ事もなく結構タイトに小回りもききます。まだ行けるまだ行けると試しているといつの間にか内側のペダルが『ガリッ』。あら?もうそんなに倒してたっけ?と感じるくらい踏ん張ってくれました。これなら下りの高速コーナーも安定するはずです、結構思ったラインに入っていけるでしょう。

少しの間でしたが、このフレームが何者なのか大まかに理解できました。

『どうしてここまでの乗り味のフレームが作れたのだろう・・・』新たな疑問が湧いてきました。

一緒にお持ちになったフレームのカットサンプルを見せていただき、さらに驚きました!

この写真では伝わりにくいかも知れませんが、『パイプの内側ピカピカだわ』『製造過程で出るカスがまったく付いてない』『余分な接着剤も溢れ出て重量増や鼻たれ小僧みたいになってないし』まさに職人技!!日本の物作りそのものです。

まだまだ日本もモノ作りを諦めてないし、チャレンジする企業があるんだぁ。と嬉しくなります。

しかも 使っているカーボン素材がこれまた贅沢です。

『カーボンフレームだから良いですよ~』なんて耳にした事がありませんか?思わず納得するかも知れませんが、『カーボンだと何が良いの?』『良いって言ってるからいいんだろうな・・・』くらいの認識の方も多くいらっしゃるのでは?

現在市場に出回っているカーボン素材の多くはアジア圏の物ですが、生産国によって品質レベルの差が大きいだろうなぁって事は皆さんも感じているところだろうと思います。

実際、日本製のカーボンを使うと価格も一気に跳ね上がります。各メーカーさんのフラッグシップモデル(1番高いやつですね)くらいでしか見かけない程度です。

一言に『カーボン』と言っても、どれも同じ品質や性質では無いですね。例えが的確ではないかもしれませんが、牛肉と聞いて頭に浮かぶものはどんなものでしょう?手間のかかった高級霜降り、赤身、これ大丈夫かなぁ・・・と様々です。生産地はどこなの?食べて大丈夫かな?と色々な物がありますよね。『カーボン』も同じです。生産地やグレードによって品質や性質は大きく異なります。

以前 持ち込まれた自転車を修理していたところ、フレームの内部からカスは出てくる、内側はグラスファイバーじゃないの?ラッピングしている一番外側だけ見た目の良いカーボンじゃないの?これってカーボンと言って良いのかなぁ・・・なんて言うのも見かけたことがありました。まぁ一部でもカーボン素材を使えばカーボンフレームと言えないことはないけど・・・。うちでは販売したくないなぁなんて思ってしまいました。

YONEXさんの使っているカーボン素材は、東レがメインの三菱を混在で使っているとのことでした。高級霜降りでしたね。

[ナノカップスタックカーボンナノチューブ]重なり合ったカップの1つ1つがフレキシブルに動き、強さと粘りが増大。踏み込みに対する反応性と振動吸収性が向上。

[エックス-フラーレン]フラーレン分子を樹脂に複合し、強力な結合力によって、剛性や強度を低下させることなく軽量化。

[ゴムメタル]トヨタ自動車グループにて開発された素材で、金属材料では不可能と考えられてきた「低弾性率化」「高強度化」を両立させた夢のチタン合金。

何のことやらさっぱり分かりませんよね。それによってどうなるの?ですが、こう言うところも日本っぽい。過大なプレゼンをしないけど、納得して頂ければ購入してくださいね。みたいな。伝え方は至って謙虚でマニアックなコアの部分のみ。

昔から日本の日本海側は、物作りのメッカと言うか、職人さんの多い地域です。多種多様な業種で、物作りが行われてきています。大型機械からメガネフレーム、日本酒や漆なども有名ですよね。世界に通用する『MADE in JAPAN』が数多くあります。カーボン成型技術を持つYONEXさんが、自転車のフレームにチャレンジしてくれたのは、そう言った地域性から派生した。そんな地域だからこそこのフレームも誕生したのかもしれません。他業種同士ですが、ベストマッチングされたんだと思います。

おそらくですが、海外のメーカーさんはこの手のカーボン素材を知っていても原価が高くなりすぎて使わない、使えないでしょうね。もし使ったら80万90万なんて価格が付くんじゃないのかなぁなんて思います。もしかしたら、フレームだけで100万オーバーなんて作るかも知れませんね。

『YONEXさん国内生産で、この素材をつかって47万とか45万で採算ベースにのってます?』『いまのところ・・・。』そりゃそうでしょうね。と言いたくなる贅沢な素材を惜しげもなく使われてます。作るからには妥協をしないMADE in JAPAN精神。最高のモノを作る意気込みと技術。ヒシヒシと感じます。まさに職人魂です。

YONEXさんのフレームは2種類しか有りません。今回 試乗させていただいたフレームが『ハード』。初号機が『ソフト』と考えて間違いありません。たくさんのグレードを用意していないだけに、1点豪華主義でしょうか。職人さんも熟練されますし、クオリティーのムラがなくなります。モデルは少ないですが、合う方は多いと思います。こんなフレームが欲しかった所にピタッときた感じですかね。

試乗させていただいて、乗り方や使い方でどちらを選べば良いか見えてきました。ご検討されていたり、迷っていらっしゃる方にアドバイスさせて頂きますご相談下さいませ。

当店では、今後必ずYONEXフレームの試乗会を行っていきます。

ご興味のある方、その際にはぜひご試乗下さい。HP上でご案内させて頂きます。

しっかり走る。けど、乗った後の疲労度が硬すぎるフレームに乗っている方とは違う。なので、練習ペースも増えてきたり距離も延ばせていけると思います。

特にトライアスロンをされている方は、BIKEの後のRUNに足が残ってる。なんて感じる方もいらっしゃるはず。

それと、クロモリフレームをお探しの方にもオススメです。クロモリフレームを求められる方は、レースしないので乗り心地良いしなりが欲しいという声をよくお聞きします。しかし、クロモリフレームは2kgを越える重量がネックになってきます。いくらレースはしないとは言え、重さはどこまで行っても付いてきますよね。しなりと軽さを併せ持つこのフレームは、そう言ったコアライダーにもおすすめでしょう。

まずは実車を試乗してみて下さいませ。ご自身の脚力に合っているか体感してもらうのが1番だと思います。

長々と読んで頂きありがとうございました。

後日、試乗会のご案内をさせて頂きます。