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大切なブレーキの話

前回は、チェーンの話をさせていただきました。

さて今回は、リムブレーキのお話です。前回がチェーンについて少し話しましたが、ブレーキは事故に直結する大事な部分ですので、よりシビアになります。

早速見ていきましょう。

まずケーブルです。ご存知通りアウターケーブルとインナーケーブルがあります。どなたでも知ってますよね。

では、アウターケーブルの仕組みはどうなっているのでしょう?仕組みまでは気にされた事はあまりないと思います。実はこうなってます。↓

外側のカバーを削いでみました。中は帯状の平板がらせん状に巻かれているのが見えると思います。このらせん状に巻かれた平板のおかげで、ケーブルを湾曲させることが出来るんですね。ハンドルバーに添わせたり、ハンドルを曲げた時にもしなやかに曲線を描いてくれるための構造ということになりますね。

帯状の平板を伸ばしてみるとよく分かると思います。この伸ばしてみるのにかなりの力が必要でした。それだけ硬い素材で出来ていることが分かります。

なぜここまで硬い必要があるのか?それは圧縮される応力に耐えるだけの剛性が必要だからですね。「圧縮される力」?なぜアウターケーブルに圧縮される力が掛かるのかお分かりでしょうか?

それは、ブレーキレバーを握って、露出されてるインナーケーブル部分を触ってみてみてくだされば理解できると思います。グニャグニャだったインナーケーブルがこんなにピンピンになるまでテンションが掛かるんだ!っと少し驚くほど引っ張られています。ギターやバイオリンの弦のような感じと言ったら分かりやすいですかね。

ブレーキのインナーケーブルを引っ張るのですから、テンションが掛かるのは当然ですが、支点となっているブレーキキャリパーのアウター受けが作用しています。

ブレーキをかける前。

ブレーキをかけた状態。

アウターケーブルを受けている部分とインナーケーブルを締め付けている部分の距離が変わっているのが見て取れると思います。

その分、後ろのブレーキだと、フレームのアウター受けとブレーキキャリパーの間に。前だとレバーとブレーキキャリパーの間のアウターケーブルに圧縮の力が掛かっている事が理解できますね。

なので、アウターケーブルは湾曲して、圧縮される力に耐えうる構造になっていないといけない。という事なんですね。

 

更にアウターケーブルの中を見てみると、樹脂製のライナーが通っているのが見えると思います。インナーケーブルは、このライナーの中を行ったり来たり動いています。

以前は、このライナーの中にグリスが注入されていた事もありましたが、個人的には好きではなかったですね。グリスは経年で硬化しますし、ネッチョリな動き感が素早い動作を邪魔するので、どうしてもよく思えませんでした。

ここまでが、アウターケーブルの構造になります。

次に、組み付ける時に気をつけなければならない点を見てもらいましょう。

アウターケーブルは長さを調整してカットして使います。ワイヤーカッターで切断した断面です。

前出で見ていただいた通り、平板がらせん状になっていますので、当然ですが断面は平にはなりませんよね。↑のように押しつぶされたようになっています。

このままで、圧縮する力を加えるとどうなるでしょう?お分かりの方も多いと思いますが、アウターケーブルの端面が平ではないので、安定しませんよね。バランスボールに乗ってるみたいなもんですかね。

このままでは、端面が均一に当たらないのでブレーキ性能が落ちてしまいます。ですので、平に加工してやらなければなりません。

↑こんな感じで徐々に平にしていきます。

↑当たり面がまだ一周繋がっていませんので、もう少しですね。

↑やっと端面が一周繋がりました。ここまでしてやればアウターケーブルに均一に圧縮応力が掛かるので、ブレーキ性能はメーカーの意図するところで使用できますね。ご自身のバイクのアウターケーブルはどうなっていますか?当店では最高の状態でご使用いただくため、この加工をしています。

手抜き作業をしようと思えばいいくらでも出来ますが、ママチャリ屋やホームセンターと同じレベルでの仕事はしてませんよ(笑)

 

↑これは、インナーケーブルです。太さはブレーキ用で「1.6mm」。このわずか1.6mmのケーブルでスピードをコントロールしているんですよ。

この1.6mmに何度 命を救われた事か・・・(^_^;) とっても重要なケーブルですよね。

そんなケーブルもいくつか種類があります。写真でも色の違いがわかると思います。上がステンレス、下がステンレスの上に滑りやすいように加工された物です。

この他にも、ホームセンターなどで並んでいる自転車には、価格を安くするために直ぐに錆びてしまう素材のケーブルを使ったりしていますね。太さも細かったり・・・。

もう一つ、とっても重要な事を覚えておいてください。

これは、インナーケーブルです。1本の棒に見えますが・・・

このように細い番線をよって1本のワイヤーにしています。

ですので、使用していると必ずテンションが掛かり、初期伸びが発生します。

グッと締まる感じなんですよね。カンパニョーロのインナーケーブルは、ほとんど初期伸びは出ませんが、シマノのインナーケーブルは結構伸びます。

この「初期伸び」については、必ず理解しておいてください。完成車をお買い上げ頂いた時もそうです、初期伸びを取っていますが、ご使用されていたら最後もう少し出ます。当店お買い上げ自転車は、無料点検を行っていますので必ずお受けください。

そして、ケーブルは何種類もあるということです。同じケーブルでも「こんなんで大丈夫なん?」って疑問に思うような物が、市場には残念ながら氾濫している状態です。価格だけを追い求めていると、良くないトラブルに巻き込まれるケースがありますよ。いつまでも買った時の状態ではありません、たまにはチェックしてくださいね。

最後にブレーキシューの話をしましょう。ブレーキシューに関してはトラブルがとっても多い箇所になります。

ブレーキシューには、使用するホイールの素材によって幾つか種類が有ります。

ホイールメーカーさんは、純正のブレーキシューや推奨するブレーキシューがあります。それ以外を使用している場合は、いかなる場合であっても保証はされません(当然の話ですが)。

例を紹介しますと、「ホイールがいきなりロックして、吹っ飛んでしまった。」なんてケースも少なくありません。これは、ホイールメーカーさんの純正ブレーキシューを使っていなかった事による実例です。

また、「カーボンホイールを使用してて、ブレーキを効かせているうちに、ホイールがブレーキシューとの摩擦で高温になりカーボンの積層の間に混入していた空気が膨張して、いきなりホイールが爆発してクラッシュしてしまった」なんて事例もあります。これは、クオリティーの低いカーボンホイールを使用してた事が大きな原因ですが、高温になりにくいブレーキシューを使っていたら、ここまでならなかった可能性があります。(うちでは、まず爆発するようなクオリティーの低いホイールは怖くて販売しませんが、値段だけで使用されいてる方も見ますね。大きな事故に繋がらなければよいのですが・・・)

ホイールの多くは、通販で購入したものに関して保証が効かない場合があります。特に並行物に関しては、国内でのサービスは受けられません。保証を含むサービスを受けるためには海外まで赴かなくてはならない事も有りますので、十分理解した上で、自己責任をお考え下さいね。

ブレーキシューを横から見たところです。左から新しい物、若干使用した物、そろそろ使用限度が近づいている物です。一目瞭然ですね。厚みが全く違います。

そして、もう一つ気を付けないといけないのがブレーキパットの表面です。

使用限度を知らせるための溝が見えると思います。

このパットはまだ良好な表面ですが、

こうなると気をつけなければなりません。

パットの表面にアルミ片が突き刺さっています。このアルミ片はホイールのアルミがブレーキパットによって剥離し、そのままブレーキパットに残ってしまってる状態です。

このまま使用し続けるとどうなるでしょう?ホイールのリム部に擦りつけるのですから、当然リム部は痛みますよね。

ホイールの寿命を短くしないためにも、たまにはご自身のブレーキパットはチェックしてみてくださいね。良くない状態でしたら、早めに交換しましょう。

 

そして、ブレーキシューの取り付けです。

↑ブレーキを開放している写真になります。

↑ブレーキシューがリムタッチしたところです。ローテーション方向は、手前が進行方向です。

進行方向側のブレーキシューはリムタッチしていますが、奥側はまだリムに触れていない様子が分かりますでしょうか?これがトーインと言われる状態です。

トーとは、つま先を意味する言葉として使われますよね。つまりトー(つま先)イン(内)

しっかりブレーキレバーを握り込めば、ブレーキシュー全体がリムに触れている状況になっています。

なぜトーインを付けなければならないのか?どうしてだと思われます?

理由は簡単です。ホイールが回転しているからですね。

回転しているホイールのリム部にブレーキシューが当たり出すと、摩擦で進行方向に引っ張られますよね。この時、ブレーキキャリパー(ブレーキ本体)はその力によってたわみます。

ブレーキキャリパーのグレードにより、たわみ方は違いますが、そのたわみを考慮してトーインを付けなければならないんですね。

今回もザックリな説明ですが、長々と書き綴ってしまいました。ブレーキに関してはとっても重要な箇所になります。まだまだ掘り下げれますがキリがなくなるのでこの辺りで。

ご自身で触っているもの関しては、残念ながらショップもメーカーも責任は負えません。全ては自己責任となってしまいます。安心安全のためにも、メンテナンスはお持ちくださいませm(_ _)m

ブレーキは、ご自身や他者の命を守る大切な部品です。プラモデル感覚で触るより、安全整備士の資格を持っている当店にお任せ下さい。 あなたのバイクをきちんとメンテナンスいたしますよ(^^)/

今回も最後まで読んでくださいましてありがとうございましたm(_ _)m